明けましておめでとうございます。
団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者になることで、医療・介護・雇用など幅広い分野に深刻な影響を及ぼす、いわゆる「2025年問題」と言われた2025年がスタートしました。「2025年問題」に対応するため各自治体には「地域包括ケアシステム」の構築が求められています。当法人が関係する名寄市、士別市においては、地域包括ケアシステムの基盤となる医療介護連携ICTシステムがすでに稼働しており、医療介護連携の効率化を図ることにより人手不足を少しでも緩和できることが期待されています。
一方で、コロナ禍以降患者減少が回復せず、また人件費・物価高騰が拍車をかけ、いま病院経営は危機的状態です。2024年9月18日、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会の3病院団体は病院経営が急速に悪化していることが経営定期調査の中間報告(速報)から明らかになったとして、救済措置・財政支援を求める緊急要望をまとめました。また、国立大学病院長会議は10月4日の記者会見で2024年度収支見込みを発表し、42大学病院のうち赤字見込みは32病院で、赤字額は計260億円に上ることを明らかにしました。当法人の参加病院もかつてない赤字決算が予測されています。
厚生労働省が公表している医療経済実態調査から過去10年の病院の経営状況について分析した結果、2022年の国公立病院の医業費用は2019年と比較して、人件費が3.6%、経費が1.8%、委託費が1.2%増加しており、2024年はさらに増加していることは明らかです。人件費や物価が今後下がる見込みは少なく、現在の収支の悪化は一時的なものではなく構造的な問題であると考えられます。今後、人件費・物価上昇を反映した診療報酬改定が求められます。
今年から2040年を見据えた新たな地域医療構想の議論が始まります。人口減少により医療需要が縮小し、ますます病院収支が悪化する地域の医療をいかに守るかがこの地域の大きな課題です。当法人としては、国民皆保険制度の理念「いつでも、誰でも、どこでも必要な医療サービスを受けることができる」が維持されるよう、関係各位の協力を得ながら努力していきたいと考えております。本年もよろしくお願い申し上げます。
令和7年1月 地域医療連携推進法人上川北部医療連携推進機構 代表理事 佐古 和廣